幅広い視野を得て、研究分野の間にあるギャップを埋めていきたい

将来の実用化を信じて

 私が研究しているのは、光を駆動力として充電ができる光蓄電池です。光を当てるだけで充電できるのですが、従来の電池では光によって電解液が分解してしまい、どのような反応が起こっているのかわからないという問題がありました。それを解決するために、電解液のない全固体電池を用いた光蓄電池の研究をしています。
 光蓄電池はまだまだわからないことが多く、現在は基礎をきちんと実証していく研究を進めています。2022年3月の電気化学会第89回大会では、蓄電池の特性評価を行った研究に対して優秀学生講演賞をいただきました。こうした基礎的な研究の積み重ねが、将来の実用化につながると信じています。

異分野との交流で見えてきた研究の意義

 WISE-SSSには多分野の学生が集まり、またマッチングワークショップを通じた企業との交流もあります。研究室だけにいると電池のことしか見えなくなりがちですが、WISE-SSSでの交流を通じて、光蓄電池に対して広い視野を得られたと思います。光蓄電池に対する要望やニーズを直接聞けることで、研究の方向性も少しずつ定まってきました。研究費や助成金の申請に際しても、研究の背景や意義をきちんと主張できるようになるなど、そのメリットを感じています。
 最近、これからの研究者の在り方として異分野融合という言葉をよく聞きますが、私がやっている材料の研究と実用的な工学寄りの研究にはまだまだギャップがあると感じています。異分野融合をひとつの目的とするWISE-SSSで、それぞれの分野の間にあるギャップを埋められるような人材になりたいと思っています。

プロフィール

吉本将隆/よしもと・まさたか
1997年生まれ、北海道出身。2019年兵庫県立大学理学部卒業、2021年東京工業大学物質理工学院応用化学系修士課程修了。現在、物質理工学院応用化学系エネルギーコース博士後期課程2年生。