WISE-SSSは理学院からの参加にもメリット

マッチングワークショップで刺激を受け登録に前向きに

 私が所属する宗宮研究室では、重力波望遠鏡「KAGRA」の要素技術を開発しています。私はKAGRAで使われる「サファイヤの鏡」の特性を評価するチームで、複屈折の測定方法を開発してきました。今年の5月からは複屈折と並行して、散乱光の測定が新たに始まりました。今、試行錯誤しながら実験方法を一から作っています。
 WISE-SSSのことは修士2年の頃に知りました。登録するかどうか、当初は気持ち的に半々くらいでしたが、マッチングワークショップでの企業の方々との議論に刺激を受け、前向きに考えるようになりました。ただ、重力波や鏡の性能といったプレゼン内容に、企業の方は少し困惑していたようです。レーザーを用いた特性評価など、もっと企業とマッチングしやすい内容にすべきだったと反省しています。

経済面や就職でもプラスの効果

 理学院からは私を含めて2名が参加していますが、企業との共同研究については、正直、工学寄りの研究の方が企業からのニーズがあるように感じます。もう少し理学院と親和性の高い企業の参加が増え、共同研究の可能性が広がってくると、理学院生も参加しやすくなると思います。
 一方で、博士課程進学にあたり経済面に不安があった私にとって、充実した経済的サポートは魅力的でした。また、すでに就職した先輩からは、特別プログラムの課程を修めていると就職の際のアピールポイントになるという話も聞いています。研究面に限らず、経済面や就職など、WISE-SSSは様々な場面でメリットが感じられるのではないでしょうか。

プロフィール

阿部誉/あべ・ほまれ
1996年生まれ、山梨県出身。2020年東京工業大学理学院物理学系卒業、2022年理学院物理学系物理学コース修士課程修了。現在、理学院物理学系物理学コース博士後期課程1年生。