学生同士の自主的な共同研究で自動運転の未来を切り開く

移動中の車両へ地図ビッグデータを供給

Li 私たちは現在、V2X(Vehicle to Everything)通信を通じて走行中の車両に高精細な道路地図を供給するという研究を共同で行っています。具体的には、ミリ波通信を使って地図ビッグデータを車両に供給します。この研究の特色は、車両の移動に合わせて、それぞれの地点に設置されたRSU(ロード・サイド・ユニット)から最新の地図データを取得する点です。私が調べた限り、このようなテーマの研究は国際的にもまだあまりなく、非常にやりがいを感じています。

Miguel 共同研究は、私からLiさんに持ち掛けて始まりました。私は高精細な3Dの道路地図の作成を専門としています。この分野は近年、自動運転とも密接な関係がありますが、異分野の研究とマッチングさせてさらに改善していきたいと考え、共同研究について先生に相談したところ、Liさんを紹介していただいたのです。

Li 私はV2X通信、特に自動運転のための動的な通信資源の割り当てについて研究しています。具体的には、RSUから車両へのデータの供給について研究しており、以前から、高精細道路地図の分野の方と一緒に研究をしたいと思っていました。ですから、Miguelさんからの提案に「すぐにでも一緒にやろう!」と決めました。

自主的な共同研究もサポート

Miguel これだけの規模の共同研究は、私たちにとって初めての経験です。専門分野が異なるため、使っている用語が違うなど意思疎通が難しい点もありましたが、議論をしたり教えあったりする中で、理解と知見を深め、問題を解決してきました。実は、この共同研究は自主的に始めたものですが、WISE-SSSからはハード、ソフトの両面、また人的なリソースについても支援をいただいています。

Li WISE-SSSでは、背景の違う様々な立場の研究者や企業との交流を通じて、刺激を受けたり、知見を得たりできますが、共同研究となると企業パートナーとの連携が重要になってきます。その意味で、私たちのような異分野融合研究は非常に特色のあるものだと思います。

Miguel 先日、この共同研究に関する論文がIEEE PIMRC2022に採択されました。共同研究の成果が認められたわけで、私たちのキャリアにとって大きな意味があります。9月の本会議での発表が今から楽しみです。

Lagahit Rivera Miguel Luis さん
LI Zongdian さん

プロフィール

LI Zongdian
1996年生まれ、中国・雲南省出身。中国の大学を卒業後、2018年に来日。2020年工学院電気電子系電気電子コース修士課程修了。現在、工学院電気電子系電気電子コース博士後期課程2年生。

Lagahit Rivera Miguel Luis
1996年生まれ、フィリピン・ケソン市出身。フィリピンの大学を卒業後、台湾の大学で修士課程修了。2020年より東京工業大学で2度目の修士課程に入るも、コロナ禍により約1年間はリモートで講義に参加。2021年に来日。現在、環境・社会理工学院建築学系都市・環境学コース修士課程2年生。