300GHz帯の超高速通信を連続的に行うアルゴリズムを開発

次世代移動通信の礎に

 ビヨンド5Gや6Gと呼ばれる次世代移動通信システムでは、テラヘルツやサブテラヘルツなど高い周波数帯域の利用が検討されています。私の研究テーマである300GHz帯の電波もその一部ですが、周波数が可視光や赤外線に近いため、障害物に遮られると通信ができなくなる性質があります。そこで超高速通信を連続的に行うためのアルゴリズムを、実験をしながら開発しています。
 6Gが有効な利用シーンとして、自動運転車やエンタテインメントなどがよく挙げられます。通信速度が1秒間に100Gビットと速く、高解像度の映像を圧縮せずに、短い時間で送れるので、リモート建機なども安全なソリューションになりそうです。10年後くらいに実現しそうな技術ですから、私の研究が将来の礎になれば嬉しいです。

伝搬を通じて新しい産業作りにも寄与したい

 以前はゼミなどで質問するのが苦手だったのですが、WISE-SSSではマッチングワークショップやポスターセッションなどの機会が多く、意識をして質問しているうちに、徐々にしゃべれるようになってきました。お互いの視点から議論をしていく中で、視野が広がり、自分の立ち位置をよく知ることもできました。
 電波の伝搬環境は、無線ソリューションを実現する環境そのものです。今は水中通信や農業用センシングに興味を持っていますが、これからも電波をどれくらい有効活用できるかを考え、新しい産業作りにも関われたらいいなと思っています。

プロフィール

康 哲嘉
1995年生まれ、台湾・台中市出身。2014年に来日。2019年東京工業大学工学部国際開発工学科卒業、2021年環境・社会理工学院融合理工学系エンジニアリングデザインコース修士課程修了。現在、環境・社会理工学院融合理工学系地球環境共創コース博士後期課程2年生。