高齢者も障害者も、誰も取り残されない社会を目指して

高齢者が最も困難な「立ち上がる動き」を支援する

 私は人工筋肉や外骨格の技術を活用して、体の動きを支援する研究をしてきました。特に、高齢者にとって一番難しい立ち上がる動作を支援するために、四節リンク機構を用いた装置を開発しました。現実の社会で起こる問題の解決を目指す時、専門分野の狭い知識だけでは難しいことがあります。しかし超スマート社会卓越教育院では、あらゆる分野の最先端の技術を学ぶことができます。そのため、自分の研究をどのように応用すれば社会の役に立てるのかという想像力を身につけられたことが、超スマート社会卓越教育院に登録して一番よかったことだと感じています。

広い視点から助言をもらえる海外メンター制度

 超スマート社会卓越教育院では、海外の大学から先生を招く海外メンター制度があります。普段は研究室の教授から専門的なアドバイスをもらっていますが、メンターの先生からは、根本的な研究の進め方や、将来この研究でスタートアップ企業を作るかどうかなど、より大きな視点からアドバイスをいただきました。そういった視点で自分の研究を考えたことがなかったため、とても印象に残っています。
 修了後は、NECデータサイエンス研究所に勤務しています。もともと共同研究をしていましたが、今後も何か一緒にできないかとお声がけいただき、働くことになりました。超スマート社会とは、誰もがテクノロジーの支援を受けることで、豊かな人生を送れる社会ではないかと考えています。高齢者も障害がある方も取り残されない社会の実現を目指し、これからも研究者として邁進していきます。

プロフィール

KITTISARES Sarin
1995年生まれ、タイ出身。2017年キングモンクット工科大学トンブリ校を卒業後、2018年に来日。2020年東京工業大学工学院機械系機械コース修士課程修了、2023年工学院機械系機械コース博士後期課程修了。博士(工学)。現在、NECビジュアルインテリジェンス研究所に勤務。