専門分野外の先生や学生との交流がWISE-SSSの大きな魅力

漬物にいる有用な乳酸菌を探索する

 私の専門は微生物で、日本の漬物にいる乳酸菌を対象にしています。乳酸菌における免疫調節機能は、乳酸菌による刺激で免疫細胞から生成するサイトカインなどの免疫物質機能が、人体に及ぼす影響の機能です。この分野では韓国のキムチに関する論文が多く発表されていますが、日本の漬物由来の乳酸菌にも同じような効果があるのではないかと考えています。
 現在は、主にコンピューターによる解析を行っています。まずサイトカインの測定実験を行い、そこで対象の菌に免疫調節機能があるかどうかを検証します。その後、ゲノムの情報も加えて、今の研究により築いたアルゴリズムを使って免疫調節機能と関連する遺伝子を探索しています。今後は、解析で探索した関連遺伝子をデータベースにして、測定実験をしなくても免疫調節ができる菌が予測できるような、マシンラーニングモデルを作りたいと思っています。

今後の研究へのプラスの効果も期待

 WISE-SSSには電子系や通信系の学生が多く、生物系の学生はあまりいません。授業も量子物理やスマートシティなど、私の専門分野とは関係のないものが多いのですが、専門分野外の人たちと交流できることがWISE-SSSの良さだと感じます。なにより、研究者にとって大切なアグレッシブさを持っている人が多いので、ゆっくりした性格の私はとても刺激を受けています。
 プログラムの中では「超スマート社会グローバルフォーラム」が印象に残っています。初めて参加した時はコロナ禍で講演を聞くだけでしたが、2度目の参加時には対面で集まることができました。ポスター発表もあり、さまざまなフォーマットのポスターが見られたことが良い経験になりました。

プロフィール

劉 伊婷/Liu Yiting
1995年生まれ、中国・四川省出身。済寧医学院を卒業後、2018年に来日。2021年東京工業大学生命理工学院生命理工学系生命理工学コース修士課程修了。現在、生命理工学院生命理工学系生命理工学コース博士後期課程3年生。