異分野の知識が研究に対する視野を広げてくれた

蛍光プローブを利用して抗原を検出する

 現在、臨床診断で用いられている抗原の検出法には、時間を要する、定量性に欠けるといった難点があります。私は、蛍光プローブを抗体と結合させることで、抗原を素早く定量的に検出するセンサを作る研究をしました。診断の迅速化や精度の向上が期待できる技術ですが、実用化に向けては課題もあります。そのひとつが、センサ化できる抗体とできない抗体があるという問題です。そこで、機械学習を利用して抗体の情報を網羅的に解析し、センサに適した抗体を効率的に見つけられないかと考え、そうした知識や技術を学べるWISE-SSSに登録しました。

幅広い知識を持ち、自分で考えられる研究者が目標

 WISE-SSSは異分野融合を掲げており、AIや量子科学を学べるカリキュラムが組まれています。研究に活かすには至りませんでしたが、さまざまな分野の基礎的な知識を学べたことで、研究に対する視野が広がったと感じています。インターンでは、分子動力学シミュレーションを使った人工酵素の設計を行いました。生物、物理、計算機科学という異分野融合による課題解決を肌で実感できたことが印象に残っています。
 4月からは電機メーカーの研究部門で、バイオデバイスの研究に携わっています。これまで培ってきた生物の知識を活かしつつ、問題解決に対して幅広い選択肢を持ち、自分で考えることができる研究者になりたいと思っています。

プロフィール

笹本佳那/ささもと・かな
1996年生まれ、神奈川県出身。2019年神奈川大学工学部物質生命化学科卒業、2021年生命理工学院生命理工学系ライフエンジニアリングコース修士課程修了、2024年生命理工学院生命理工学系ライフエンジニアリングコース博士後期課程修了。博士(工学)。現在は、パナソニックホールディングス株式会社に勤務し、研究開発に携わっている。